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ブログ|2021.02.13
春のにおい
「また寒くなるわよ」と義母が言ってくれるので少し安心する。
私は春のにおいがこわい。
(何かしなくては)
という脅迫概念に駆られるのだ。
待ちの仕事をずっとしていると、
お客様はどんどん変わっていく。
もちろん新しいお客様も来るけれど、
別れと出会いの繰り返しに心がついていかない。
自分ひとりだけ取り残される気がするのだ。
もう誰も待たなくてもいいのに、
好きなところへ
好きな人に会いにいける今になっても、
春のにおいにおびえる心を隠しきれない。
また春が来る。
逃げても逃げても春は尚襲いかかる。
どうしたらいいのかはもう知っている。
行きたいところがある。
見たい世界がある。
おびえた心を抱えたまま、
こわいままの自分で進むしかない。
春が優しく包んでくれるその日まで。
春はずっと前から優しくそこにあるのだから。