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ブログ|2020.07.08

4歳の自我

うちはたぶん、いや間違いなく貧乏だった。

気が付いたら
姉2人弟が1人いて、母と5人家族で、
小さな住宅に住んでいた。

 

自我を感じた、はじめての瞬間を今でもよく覚えている。

 

姉弟4人のくつでいっぱいになってしまう程の小さな玄関の柱に、
古い三面鏡台(ドレッサー)の鏡の片割れがちょうつがいで取り付けられていた。

おしゃれだった母が、鏡台を買い替えた時に、自分で取り付けたのだろう。

私は父を知らない。

弟がいるので、一緒に住んでいたことはあるのだろうけれど、少しも覚えていない。

頑張れば思い出せるかもしれないが、
父に可愛がられた記憶もないので
思い出したくはない。

 

父の話しはまた別の機会にしよう。

 

貧乏だった我が家であったはずなのに、
そういえば、母は鏡台を買い替えていた。

今考えてみると、私は似ていない母の性格は、その頃から片鱗を見せていた。

 

こんなこともあった。

 

知人からかりたのだろう車に母の運転で2人で乗っていた時のことだ。

 

真夏の暑い日だった。

 

赤信号で交差点で停車したとたん、

「窓閉めて!」

母の声で
慌ててレバーを必死に回して窓を上げた。(当時はパワーウィンドウなんてない)

母を見ると、

「クーラーが付いてないことがバレちゃうでしょ!?」

と笑っていた。

 

そんな母が取り付けた、三面鏡の片割れの鏡を私はよく見ていた。

 

その鏡に映る小さな自分の顔をマジマジと見ては、

 

(今回はこの顔かぁ)

 

とつぶやいていた。

 

頭と心、身体の3つがあると感じていた。

 

(なんで私は私なの?)

(となりのケンチャンはお金持ちなのに、うちはどうして貧乏なの?
ズルくない?)

と、よく話しかけていた。

 

物心ついた時から自分の生い立ちを、
不公平と嘆いていたのだ。

そして、
大人たちのうそが悲しくて悲しくて、
意味がわからなかった。

 

その問いは成長するにつれ大きくなっていった。

 

「どうして子供は勉強しないといけないの?」

「人間はなんのために生まれたの?」

「宇宙はどうしてあるの?」

 

頭のいい学者さんやお金持ちの社長さん、大人たちはその答えを知っていると思っていた。

 

だれも知らない、答えられない問い、

 

と知ったのは、
20歳になり、JAZZBAR M istyを経営してからとなった。

 

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